肥満症治療薬、一番効くのはどれ?|こいずみ内科・消化器内科クリニック|愛媛県八幡浜市八幡浜駅前

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肥満症治療薬、一番効くのはどれ?

肥満症治療薬、一番効くのはどれ?|こいずみ内科・消化器内科クリニック|愛媛県八幡浜市八幡浜駅前

2024年2月22日より保険適用になった肥満症治療薬「ウゴービ®」が出てから約1年が経過しました。
最近の報告で、糖尿病のない過体重または肥満の成人を対象に、GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1/グルカゴン(トリプルG)受容体作動薬の体重減少効果が調査されています。

ウゴービ®はもともと2型糖尿病治療薬として開発されたGLP-1受容体作動薬を肥満症患者向けに適応拡大した薬剤です。
さらに、肥満症治療薬としてGIP/GLP-1受容体作動薬「ゼップバウンド(チルゼパチド)」が、2024年12月27日に製造販売承認されました。
ゼップバウンドは、もともと2型糖尿病治療薬として開発された「マンジャロ(チルゼパチド)」を肥満症患者向けに適応拡大した薬剤でウゴービ®に続いて2つ目の肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬です。

GLP-1は、胃の内容物の排出を遅らせることで食後の血糖値の急上昇を抑えるとともに、中枢神経に作用して満腹感を高める効果を持ちます。
これらの効果により、満腹感が高まる(=食物の摂取量が減る)ため、体重減少につながります。
一番新しいトリプルG受容体作動薬は、GLP-1受容体に加え、GIP受容体やグルカゴン受容体などをターゲットにすることで、血糖値上昇を抑制したり満腹感を促進したりする効果が高くなる可能性があると言われています。

現在、複数のGLP-1受容体作動薬が実用化されていますが、カナダのマギル大学教授のMark Eisenberg氏らにより「Annals of Internal Medicine」へ2025年1月7日に掲載されたシステマティックレビューでは、
・チルゼパチド(ゼップバウンド 15mg/週): 72週間で最大17.8%(95%CI: 16.3%~19.3%)の体重減少。
・セマグルチド(ウゴービ 2.4mg/週): 68週間で最大13.9%(CI: 11.0%~16.7%)。
・リラグルチド(ビクトーザ 3.0mg/日): 26週間で最大5.8%(CI: 3.6%~8.0%)。※日本で肥満症治療薬としての承認なし
・レタルトルチド(12mg/週): 48週間で最大22.1%(CI: 19.3%~24.9%)。※未承認、臨床試験中
といずれのGLP-1受容体作動薬も体重減少効果を示したようです。
一番有効だったのはトリプルG受容体作動薬のレタルトルチドという結果になっていますが、これらの結果は1対1で効果を比較したものではないので、一概にどうとはまだ言えません。

糖尿病患者さんへGLP-1受容体作動薬を使用した際には、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが一般的な副作用としてみられます。
これらの副作用は高容量となる方が出現しやすいと考えられていますので、使用する方によっては副作用が強く出てしまう可能性もあります

ゼップバウンドは類似薬である肥満症治療薬「ウゴービ」と同様に、最適使用推進ガイドラインを満たす医療機関でのみ使用可能になることが予想されます。
一般のクリニックでは処方はできません。
このガイドラインを満たす医療機関とは、多くの場合、大学病院などの大規模医療機関に限られる可能性が高いです。
そのため、仮に2025年にゼップバウンドが発売されても、クリニックで保険診療として処方することは難しいと考えられます。

当クリニックでは、肥満症の治療を希望される患者さんに対し、適切な治療方法を慎重に判断したうえで必要に応じて、
肥満症治療薬の処方や病的肥満手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)が可能な愛媛大学医学部附属病院などの医療機関をご紹介しております。

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